2013年7月4日木曜日

商店街うんちくツアー きじまや靴店


店主 屋号は「きじまや」ですが本名は河野です。チラシには下駄屋のことが書いてありますが、うちは下駄屋をやめてもう40年になります。ですから今日は靴の話です。




現在の取扱商品はウォーキングシューズ、ジョギングシューズそしてスポーツシューズ。うちはこれらのアウトレットショップなんです。アウトレットというのは有名ブランド商品を安く仕入れて安く売る。単に靴店と言っていますが、特化された靴屋なんですね。

 そこにあるアビレックス。これは戦場、市街戦でも使える靴なのですが、今、若い人たちの間で流行っています。これもうちなら安く提供できるのです。

 こちらのナイキも安いでしょ。他にもブランド品が置いてありますが、どれも定価では売っていません。最低でも2割、物によっては5割とか引いています。そういう意味では、特殊な店なのです。
 いま、麦田のトンネルからこちら側、靴屋がなくなってしまいました。


 靴屋というのは一人のお客さんに対して、たくさんの商品を用意しなければいけないのです。サイズが15センチから28センチまであって、しかも色が5種類くらいあるとしたら、一人のお客さんに対して100足以上の在庫を持っていないと対応できないのです。
 だから靴屋をやっていられなくなって、消えていくわけです。倉庫を見ていただいてもいいのですが、うちでは8000足以上の在庫があります。その中に希望のサイズがなければ買っていただけないのです。


 饅頭を買いに行ってお気に入りのものがなかった場合、その代わりになるものを買っていただけますよね。あるいはシーツを買いに行って、好みのデザインのものが安く出ていたら、5枚とか買っていただけるわけです。
 しかし、靴屋はそうはいかない。だから町の靴屋さんが減っていくのです。
参加者 長いことやっておられる秘訣はなんですか。
店主 秘訣? そんなのないよ。商売が好きだからやっているんだよね。私の歳、いくつだと思う?
参加者 80歳?
店主 90歳だよ。この歳で店に出て商売やっているのは私くらいでしょ。商売が好きだからやっていられるんだ。


参加者 あそこの壁にカルロス・ゴーンさんの写真が飾ってありますが…
店主 ああ、あれね。うちのお得意さん。以前、この山の上(山手?)に住んでいたんですよ。彼が日本に来た頃、奥さんを連れてよく買い物に来ていたんです。今でもつきあいがあるよ。この6月に日産の総会がありますけど、その時には行きますよ。
 すごい人ですよ。3000人くらい集めて総会をやるわけだけど、司会から進行から、すべて自分ひとりでやってしまうのです。2時間立ちっぱなしでね。


参加者 どんな靴を買っていくんですか?
店主 安くても高くても、それが気に入ればいいんです。そこにあるのは少し汚れているから500円の特価にしているのですが、自分が気に入ればそれでいい。価値を認めちゃうわけ。
 去年の総会に行ったらゴーンさんに食い下がっている新聞記者がいました。ゴーンさんの給料、いくらか知っていますか。9億7千万円です。イチローが11億くらい。それと同じくらいですよ。だから取り過ぎだっていうわけ。



 日産が潰れそうになったときたくさんの人員整理をやっています。その上で成り立っているのだから9億7千万円は取りすぎだというのです。
 それに対して、ゴーンさんはこう言いました。
「何いってるんだ。俺が来なければ日産はとっくに潰れているじゃないか。いま、日本の三大メーカーとして残っているじゃないか。だから9億円くらい安いもんだ」ってね。

参加者 ゴーンさんとはお店でどんなお話しをしたんですか。
店主 やっぱり商売の話ですよね。でも忙しい人だから、我々なんかとゆっくり喋っているわけにはいかによね。時給にしたら1時間何百万円なんだから。
参加者 ブランドの商品を安く売ることができるのは、どうしてなんですか。
店主 HICというボランタリーチェーンを組んでいるの。優良な靴屋さん10軒で共同仕入れをしているから、小さな卸店くらいの値段で買えるわけです。続きはのちほど交流会で。

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