2014年1月16日木曜日

第9回商店街うんちくツアーの結果報告(4) メリ~ゴーランド研究所


≪メリーゴーランド研究所≫

 参加者がいちばん楽しみにしていたメリーゴーランド。
 残念ながらこの日は、興行が入ってしまい、寺道さんとメリーゴーランドは不在でした。その代わり、事前に撮影した動画を研究所内で流し、運営スタッフから詳しいお話も伺うことができました。

<以下は録画から>

村田:こんにちわ~ この看板は?

寺道:ここで何をやっているか分からないので出しているのです。まず、ここでは移動式メリーゴーランドの研究開発を行なっていて、スタジオというのは、美術的な製品を作っています。舞台、映画、イベントなどのディスプレーなどです。
スクールというのは、毎週木曜日に子どもたちの美術教室をやっています。
レンタルスペースというのは、撮影やパーティーにも貸し出しています。作業がないときでないと貸し出せませんけどね。
カフェはやろうと思っていたのですが、作業が立て込んで来るとできないので、今はやっていません。



村田:この建物、珍しい感じですけど。こういうのを昔、よく見たような気もしますが。

寺道:これは戦後すぐに建てられた、米軍住宅のセカンドハウス的な建物です。

村田:これがメリーゴーランドですね。大きさはどのくらいなんですか。

寺道:土台の直径が3.4メートルで舞台の直径は3メートル、高さが2.8メートルです。重さは総重量が1.5トンです。
運ぶときは天井、床、馬など6パーツに分解します。
 3頭いますが、それぞれ表情が違います。前足を掻き込んでいるのがマリアです。顔を少しだけ皆さんの方に向けています。左前足を出しているのがカノン。ジャンプしているのがエリザです。この子だけは1段高く設定しています。他の2頭は90センチなのですが、こちらは1メートルあります。それで鐙を付けているわけです。
これが土台です。メリーゴーランドなので馬の上下運動が必要になります。通常はクランクで上下させるのですが、これは違うやり方なのです。
馬のお腹の下から鉄の棒が出ていて、その先にローラーが付いています。
そのローラーが波打つレールの上を通過することによって上下する仕組みになっています。



遊具の安全基準をクリアしながら設計してきました。
移動式なのでできるだけ軽量、コンパクトにということで、こういう形になりました。
だいたい10センチ以上、上下します。このサイズで上下運動するメリーゴーランドというのは珍しいと思いますよ。通常の造り方で上下運動させると、天井が高くなってしまうんです。
モーターは富士電機のもので、200ボルトで1.5キロです。ギアはフランス製です。
 スピードはインバーターで調節できますが、程よいスピードは1分間に3周くらいです。



村田:上の覆いの端に何か書いてありますが、これは何でしょうか。

寺道:これはサンスクリット語で書いた般若心経です。マニ車のように、回転するたびに願い事が叶うようにと、そういう意味を込めて写経しました。
漢字だとなんだか宗教色が強くなるので。

村田両サイドの壁画が気になるのですが。


寺道:メリーゴーランドで回りながら見ていただきたいということで、風景を描いています。
もともと店舗の壁画などをやっていますので、壁を見ると絵を描きたくなってしまうのです。
 この壁画は隠し絵になっていて、動物、鳥、魚などが、随所に隠されています。
百日紅に猿が隠れていますよね。お子さんたちにも評判で、すぐ発見しますね。

村田:そこに額がたくさんありますけど…



寺道:注文を受けて、いろいろなサイズ、デザインで造っています。

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代表者の寺道さんは大学で美術を学び、卒業後、美術関係の制作会社に入社しました。
1999年、30歳で独立。舞台美術、商業美術などを手がける美術工芸制作会社「エトルスコ」を設立しました。
フィレンツェの工房で平面から立体まで様々な様式や技法を修得しています。




 2009年、突然のめまいに襲われ、グルグル回る世界を見てメリーゴーランドが閃いたといいます。ちょうどその頃は、夢を与える仕事をしたいと思っていたときでした。
多くの人たちの笑顔を見たいので、移動式のメリーゴーランドを考えたのです。経済的にも安定してきたこともあって、2009年、メリーゴーランド研究所を設立しました。




 メリーゴーランドは115年ほど前に、欧米から伝わってきたのですが、日本国内にあるメリーゴーランドは、ほとんど輸入品です。
 寺道さんは造形の専門家なので、馬づくりはお手のもの。発泡スチロールをカッターで削って、さらに磨いて馬の型を造りました。これは彫刻と同じですね。
 安全に乗って楽しむためのメリーゴーランドは、鉄や良い素材を使って丈夫に作る必要があります。そこで、イタリアで活躍する友人のジルベルトさんに相談して、カーニバルの町(ヴィアレッジョ)にある工房で作ることに。




 寺道さんが作った原型から、ジルベルトさんが自然の素材(エコデコ)で馬を作り、友人のサウロさんが本体機械部の図面を作成しました。
 馬の制作に使った素材はプラスチックではなく、天然素材粘土「エコデコ」。土、木、石などを粉末にして作った粘土で、これはプラスチック等と違って、土に戻せる優れものです。
もともとはチベットで開発された粘土で、何百年も使われてきたものです。それがイタリアに伝わり、技術が継承されたといいます。



 20128月、メリーゴーランドが完成。蒸気機関車や船などに〇〇号など名前がつけられているように、メリーゴーランドにもサムサラ号と名付けました。意味はサンスクリット語で「輪廻転生」。
 天井の縁にはサンスクリット語で「お経」が書かれています。回転するたびに願いを叶えてくれる幸せの「おまじない」。チベットのマニ車と同じですね。
 3頭の馬にも名前が付いています。エリザ、カノン、マリア。エリザには特段の理由はありませんが、カノンは観音様、マリアは聖母マリア。

【テラミチさんの言葉】
「メリーゴーランドはただの遊具ではなく、平和や幸せの象徴」
「メリーゴーランドを通して、子どもたちの想像力や感性を育むお手伝いをしたい」
「東北の被災地にも行って、子どもたちに乗ってもらいたい」

【メリーゴーランド研究所の建物について】
もともとは外人ハウスでした。昭和31年の住宅地図をみても居住者が外人となっています。本牧が接収されていた関係で、軍人や宣教師が住んでいたそうです。
ここには映画俳優・赤木圭一郎が一時期、姉と一緒に住んでいたこともあります。
これを寺道さんが自分でリノベーションしました。

「メリ~ゴーランド研究所」のホームページ


(つづく)

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